進級制作-3  シナリオ

※人物
■神様AB (185歳)  
身長16センチ。AB型的性格。お調子者でずる賢いが愛嬌者。
体は小さく、可愛らしい顔立ち。 
■神様A(183歳) 
身長21センチ。A型的性格。素直で真面目で力持ち。
若干鈍いが、キレルと怖い。力士のような体型。
■主人 (45歳)
 脇役。祭りで酔っ払って寝ている。 
■奥さん(43歳)
 脇役。旦那思いだが恐妻。声しかでてこない。
※背景
 1年の収穫を祈る春のお祭り。山からマレビトと呼ばれる小さな神様が村にやってくる。
だが、実際にマレビトを見た村人はいない。
マレビトは酒が大好物だと言われていて、祭りでたくさん酒を振舞い、
マレビトが満足して帰っていくとその年は豊作になるという言い伝えがある。

※台詞
村全景(夜)
村の中心で祭りが行われている。
SE:ピーヒャラ ピーヒャラ ドンドンドン
村の中の一軒の家 家の中
奥さん「あんた〜、ふとんで寝えへんかったら、風邪ひくで〜」
主人「ま・・まだ・・、飲んで・・・ ぐお〜〜〜〜〜」
SE:ぺたぺたぺた
神様ABと神様A、物陰から登場
神様A「からばっかり」
	神様ABと神様A、酒が入っている銚子を見つける。
神様AB「お、これ、けっこう残ってるやん。ふたりで半分コにしようや」
神様A「おう」
	神様AB、銚子の上半分を指差して
神様AB「オレが上半分飲む。でおまえは下半分や」
神様A「ええで、わかった」
主人「うーん……、もう飲めへん…」
	神様AB、神様A、銚子の影に隠れる。
主人「ぐおー、ぐおー」
神様AB「はぁー、びっくりしたわ。ねるんかい!」
神様A「ほんまや!」
神様AB「一生、寝てろ!」
神様A「はよ、飲も、飲も」
神様AB「オレが頭持つし、おまえ、尻持って」
神様A「よし、わかった」
	神様A、銚子の下(底)の方を肩に乗せて持ち上げる。
神様A「どっこい」
	神様AB、銚子の上(口)の方を手にとる。
神様AB「オーライ、オーライ」
	神様AB、銚子の口に、口つけて飲み始める。
	SE:ごっ ごっ ごっ ごっ
神様A「おいおいおいおいおいおいおい」
	神様A、神様ABの口から離すように銚子を振る
神様A「ワシの分がなくなるやんけ!」
	銚子を振った反動で中の酒がこぼれる。
神様AB「こぼれる、こぼれる」
神様A「おおっ、もったいない、もったいない」
神様AB「もー、しっかりしてやあ。酒がなくなるやんけ」
神様A「ごめん、ごめん」
神様AB「えーか?とっくりのこっから上半分がオレのもの。
     下半分がおまえのや。そーっと、とっくりをかたむけてみ?」
	神様A、銚子の口を下のほうに向ける。
	神様AB、猪口を持ってきて酒を受け止める。
	銚子が、口を下にして傾いている状態。
神様AB「この時!とっくりのこっち側が(口側上半分を指して)オレのや!
     こっち側が(底半分を指して)おまえ。」
神様A「んな、あほな!こないしたら」
神様A、銚子を傾ける。
神様AB「こぼれる!こぼれる!」
神様A「おおっと、ごめん、てそうやなくて!
    酒は、全部下に来るから、全部おまえのになるやんか」
神様AB「そやで。それがどないしたん?」
神様A「キーーーーッ!ほな、今度はわしが上半分!」
神様AB「ええで」
神様A「どっこいしょ」
	神様A、銚子を床に置く。
神様AB「ちょっと待ってや」
	神様AB、腰からナイフを取り出す。
神様A「なんやねん、それ」
神様AB「えへへ」
神様AB「オレはおまえみたいに力はないからこんな重いもん、よう持てん」
	神様AB、ナイフでとっくりの一部を丸く切りとる。
	SE:キコキコキコ…
	とっくりに穴があいて、酒がではじめる。
	SE:ちょろちょろちょろ…
神様A「穴あけよった!」
	SE:ちょろちょろちょろ…
	神様AB、猪口を持ってきて酒を受け止める。
神様AB「下半分はオレのやで〜」
神様A「なんやてえ」
	神様AB、猪口に入った酒を手にとる。銚子から酒が漏れ出る。
神様AB「こぼれる、こぼれる。もったいない。おさえとって〜」
神様A「わわわっ」
	神様A、銚子の穴に手をあてる。身動き取れない。
	神様AB、その隙に飲む。
	SE:ごっごっごっごっごっごっごっ
神様A「あああ!」
神様AB「ぷはーっ」
神様A「ワシの分がなくなるやんけ!」
	神様A、銚子から手を離す。
神様AB「こぼれる、こぼれる」
神様A「あっ、ごめん、ごめん」
	神様A、再び、銚子の穴に手をあてる。
神様AB「あほやなー、下半分にある酒がオレの酒やろ〜?ドゥーユーアンダースタン?」
	神様AB、酔っ払って上機嫌。踊っている。
神様A「なめとんか!ワレェ!」
神様AB「えへ〜、もう飲めへん〜」
	神様A、神様ABの持った猪口を取り上げる。
神様A「もう、許せへん!」
神様AB「もう飲めへん〜」(ふわふわした口調で)
	神様A、猪口を頭上に持ち上げて神様ABに振り下ろす。
	SE:ガツーン
	猪口の底が割れ、猪口がスカートのように神様ABにはまってしまう。
神様AB「なんやこれぇ〜」
	神様AB、腰をくねらせて踊る。
神様AB、神様Aを指差して
神様AB「ギャッハッハッハッ、自分、酒癖わるすぎるわー」
神様A「なめとんか!ワレェ!」
	神様A、神様ABをさかさまに持ち上げる。
神様AB「ヒャッヒャッヒャッヒャッ(笑い声)」
神様A「おまえなんか、こないして、こないして」
	神様A、神様ABを逆さまのまま、床にたたきつけ、
	コマのようにくるくると回す。
神様AB「(小さい声で)もう酒はええで〜」
神様A「こないしてやるーーーー!」
	神様A、神様ABにはまったまんまの猪口に酒をつぐ。
神様AB「(小さい声で)もう飲めへ〜ん」
	銚子から一滴、酒が出る。
神様A「ああっ、一滴しかないがな!」
	神様A、神様ABを逆さまのまま持ち上げて、
	猪口に入った一滴の酒を飲もうとする。
神様A「ちきしょー、一滴だけでも!」
	神様AB、おならをする。
	SE:ブーーーーーッ
神様A「うわっ くさっ」
	神様A、神様AB、ともにたおれる。
神様A「(小さい声で)わ…わしのぶん…」
	SE:ガタガタガターンッ
	神様Aと神様AB、主人にぶつかる。
主人「う…うーん」
神様A、神様AB「えらいこっっちゃー」(短く言う)
神様A、神様AB「にげろーーーっ」
	暗転
主人「うーん…、まだ残ってる」
	SE:トクトクトクトク
主人「なんやこれ、おーい、お猪口に穴あいとるでー」
奥さん「あんたやろ、この酔っ払い!また壊したやろ!」